浮世絵
今回ご紹介するのは、連作浮世絵『古今菓子之内』の中の一つ、「小豆磐(アズキバン)」である。これは、古今の菓子の紹介するという浮世絵のシリーズであり、「小豆磐」というのは、小豆を冷やし固めてつくった、江戸時代の夏の定番菓子のことである。さて、こ…
本日紹介するのは、浮世絵「起里合代算人形(キリアワセダイサンニンギョウ)」(文化八年 1811)である。 これは、玩具絵(オモチャエ)の一つで、これを切り離して組み立て、人形を作るものであるが、他の物が子供用の玩具であるのに対し、これは大人、特に絵師が使う物であっ…
今回ご紹介するのは、『伝小田萌豚肖像(デンオタノホウトンショウゾウ)』(草明寺所蔵)である。これは、「萌道」の大成者小田萌豚(おたほうとん) の肖像画であり、萌道は二十世紀末に誕生した「萌え」の概念を、「詫び寂び」と並ぶ芸術価値にまで昇華させたものであ…
ご報告です。 本日発売の、ベース・マガジン様の5月号の特集「GIRL'S MOVEMENT HAS COME!!!」のトビラ絵を描かせて頂きました。 BASS MAGAZINE (ベース マガジン) 2015年 5月号 [雑誌] 作者: ベース・マガジン編集部 出版社/メーカー: リットーミュージック…
先週は更新できずじまいで誠に申し訳ありません。 さて、このブログにおけるネタ絵の芸風(「現代の事物が過去に描かれていた」というスタンス:タグ研究及び成果物参照)からすると、制作過程のモノを出すと矛盾が生じるのですが、この際気にせずに出してみ…
皆さま、クリスマスイブですが、いかがお過ごしでしょうか。館林大学の私の講義では当然補講をぶち込みました。当たり前です。 ただ、去年は、講義後に研究室に戻ってみると「誅」とただ一文字書かれた、それは綺麗にデコられたクリスマスカードがドアに挟ま…
今回ご紹介するのは、連作浮世絵『小田好流行肝(オタコノミハヤリノキモ)』より「枕女房(マクラニョウボウ)」である。このシリーズは、風変わりな流行を取り上げるという趣旨のものであり、枕女房とは、絵と文を読む限り、現代の抱き枕に近いものであると考えられている。…
目を細めて、ちょっと離れて見ると良いのですぞ。 今回ご紹介するのは、連作浮世絵『大日本奇奇傳(だいにっぽんききでん)』のうち、「無垢ノ介(むくのすけ)猩猩(しょうじょう)に化けて山中の賊を捕らふ」ですぞ。 大日本奇奇伝は、キキ(聞き)、つま…
以下、『うろ覚え草紙』よりの転載です。 (口語訳) 九月(新暦十月)の晦日に、南瓜祭りを行う。鞴(ふいご)祭りではミカンを撒くが、南瓜(かぼちゃ)を撒いても子供たちは喜ばないため、代わりに菓子を包んだものを用意し、それを渡す。 この際、子供は…
今回ご紹介するのは、『虚覚草紙(ウロオボエゾウシ)』より、「二才病(ニセビョウ)」である。『虚覚草紙』は、幕末の安政七年に出版された一種の予言書であり、未来に行ったと主張する絵師、歌川芳細(ウタガワヨシコマ)によって書かれたものである。さて、この「二才病」…
(※文章は、『平成うろ覚え草紙』に掲載されているものと違います。) 本日は、『うろ覚え草紙』より「蘭手茶道」をご紹介します。これは、濃茶に獣乳を入れることにより、器の中に絵を描くというものですが、乳の跡で描くため「蘭手跡(ランデアト)」とも称さ…
館林大学文学研究センター 洞田創です。 この度、地域文化研究の成果として、昭和四十六年に発見された郷土の貴重書『うろ覚え草紙』を現代語に訳した、『平成うろ覚え草紙』を飛鳥新社様より9月25日に出版いたします。 本書は、歴史学界に一石を投ずるもの…
今回ご紹介するのは、浮世絵『鏡写当世婦人心裏(カガミウツシトウセイフジンノココロノウチ)』である。これ は、魔法の?鏡を当てるとその心が鏡に映って明らかになる、という趣向の物で、人の心の裡を覗くというのは趣味の良いものではないが、男も女も「異性が何 を考えて…
(発表 2014.6) 今回ご紹介するのは、明治二年に刊行された『野鼠の草紙(ノネズミノソウシ)』である。これは、合巻形式の草双紙であるが、文明開化の影響か、紙を横長に使った点に特徴がある。なお、この『野鼠の草紙』の内容は「根津の国のかくれ里に住む山鼠、…
(発表 2014.5)今回ご紹介するのは、『新成九十九神 目出度白背(シンナリツクモガミ メデタキシラセ)』である。これは、江戸後期に甲斐南楠(カイナンクス)によってかかれた草双紙(クサゾウシ)であり、本作はその一ページであるが、目を引くのは何といっても画面におさまり切ら…
(発表 2013.9) 今回ご紹介するのは、「外ヶ嶋鉄道館内蒸気車之図(そとがしまてつどうかんないじょうきしゃのず)」である。鉄道館というのは現在の駅のことで、題名は、外ヶ嶋という駅の、駅内の蒸気機関車の図という意味である。この絵は元々3枚続きの…
(発表 2012.5) 今回ご紹介するのは、明治初期の錦絵新聞「郵便日日新報」である。錦絵新聞は明治の初期に存在したジャーナリズムで、記事に錦絵(浮世絵)をつけたものである。扱う記事は事件やゴシップ・怪談奇談の類が多く、その点を考慮しても現代の写…
(発表 2010.2)今回ご紹介するのは、江戸中期の読本「倭久倭久先生酔夢譚(わくわくせんせいすいむたん)」である。この物語は倭久倭久先生という発明家が船旅の途中、嵐 に巻き込まれて人外の住む島「胡呂利国(ごろりこく)」に漂着し、そこで持ち前の発…