洞田創研究室

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【お絵かき講座】キャラ絵の描き方基礎~第三回素体基礎Ⅰ胴体

キャラ絵の描き方基礎 第三回素体基礎Ⅰ~胴体

 三回目にして、ようやく本題に入ります。今回からは絵を描く時の基礎であるアタリの描き方、広文メソッド版を紹介していきます。

 

始める前に

 今回の講義、「素体基礎Ⅰ~胴体」はその名のとおり、素体の胴体を描く話です。おっと、素体が何か分からない方は、前回の講義録をご覧ください。

 

 これから4回の素体基礎では、Ⅰ胴体 Ⅱ脚部 Ⅲ腕部 Ⅳ頭部+αという順番で学んでいきます。なぜ胴体からかと言えば、頭部から描くと、慣れていない方はそれに引きずられて描きにくくなるためです。もちろん、慣れればどこから書き始めてもかまいません。
 それでは、胴体を描き始める前に、今から描く素体の全体像を提示しておきましょう(下図)。完成品を知らずにパーツを描くのはただの苦行ですからね。

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 最初は複雑なポーズではなく、このとおり、単純な棒立ちポーズから始めましょう。素体基礎が終わった後、だんだんと複雑なポーズに挑戦していきます。全体を把握しましたね。では、胴体を描いていきます。最初は、立方体を描くことから始まります

 

〇胸郭の書き方

1直方体を描く

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 さて、上の図のようにまずは立方体を削り、奥行き3分の2の直方体を描きましょう。これが胴体の上部、胸郭(の大部分)のもとになります。ちなみに、要らない線を消す作業がかならずあるので、アナログ派は鉛筆かシャーペンで描いて下さいね。
 ここで注意点が一つ。パースがかかっている上での3分の2ですから、定規は使えませんよ。目測でいきましょう。厳密でなくて結構です。アタリは精密さを競うものではありません
 ちなみに、慣れている人や、自信がある人は、最初の立方体をとばして、③の直方体から描き始めても問題ありません。私はそうしています。

 

 

2背中の傾斜を付ける

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 さて、お次は背面に傾斜を付けましょう。人間は直立すると、背中に傾斜がついています(下図)。それをシンプルにして再現する作図です。しかし、8分の1という数字は申し訳ありません(汗)。「背中をちょっと削るよ」の「ちょっと」を数量化するとこうなったのです。ちなみに、私が描くときはいつも目分量なので、測ることはありません。皆さんも慣れたら適当に描いてしまいましょう。
 なお、背骨は重要ですから二重線にしました。もちろん、目立つ線であればなんでもいいですよ。

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3正面の傾斜をつける

 まずは、すぐ上の人体図をもう一度ご覧ください。胸郭の厚みは一定ではなく、前面の上部が傾斜しています。お次はこれを再現しましょう

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 ③の正中線というのは、体の真ん中を通る線のことです。人体を描くときは、これを一つのガイドとして使います。背骨と共に重要なので二重線にしておきました

 これで胸郭は出来上がりです。

 

 

4補助箱を設置する

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 胸郭から下の胴体の長さを決めたり、骨盤の大きさを決めたりする際に、描写の補助になる箱を描くと便利です。この箱を「補助箱」と呼んでいます。補助箱は、胸郭の底面をそのまま下に伸ばすイメージを持つと描きやすいです。なお、この補助箱の底面は、骨盤と接しています。

 

では、お次は骨盤に入ります。

 

 

〇骨盤の書き方

 まずは、これから描く骨盤パーツをお見せしましょう(下図)。後ろにずれたパンツ型ですね。そして、この元になる図形は立方体を二つ並べた直方体です。

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5骨盤の元となる直方体を描く

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 上図をご覧ください。この内、②は何を意味しているか分かりますか? 実はこれで骨盤の横幅を調整しているのです。正方形に成形すると、自動的に骨盤が広がるという仕掛けです。8分の1という微妙な数字の出どころはこれのせいなんですね。補助箱の幅のままだと、骨盤が大きくならないので、ここで大きくしています。
 ちなみに、描こうとしている皆さんの中には、ここがうまく行かない方が多いのではないかと思います。ついでにいえば、「正方形にしようにも、すでに正方形っぽい……」というパターンが最も多いのではないかと思います。その場合は、「正方形にならないのを無視してちょっと幅を広げる」で良いかと思います。厳密性にこだわる必要なんかありません。私だってよく失敗してこうしています。なお、その場合、③で直方体を描こうとすると高さに迷われるかもしれませんが、高さは奥行きと同じにしておいてください

 

 

6直方体をずらす

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 図のように、直方体が4分の1後ろにずれることにより、骨盤の傾斜を再現します。なお、慣れると①のような目印を打つ作業はほとんどせず、直に書くようになります。このパーツは許容値が特に大きく、多少ずれたり歪んだりしたところで特に問題を生じないので、気軽に描きましょう。(作図例も歪んでますしね。。)


7球を取り付ける

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 骨盤直方体の下に球を取り付けます。中心から三分の一と書いていますが、見当を付け辛ければ半分(二分の一)でもOKです。これは実際には骨盤のパーツではなく、太ももの付け根を表すパーツです。人体の「大転子」およびその周りの筋肉、の代わりとなるものです。ちなみに、実際にはもう少し手前に付くのですが、描きやすさからこの場所としました。ここは後の講義で補足します。
 球の大きさは、「ズレる前の立方体」の内接球ぐらい。箱にぴったり収まる感覚です。分かりにくければ、ズラす前に立方体を、余白に写しとっておけば便利ですよ。ただ、あくまで一つの目安です。大きさにこだわる必要はありません
 なお、5の②で正方形にならず、結果、立方体になってない人でも、その箱に嵌る球ぐらいの大きさのイメージで描けばOKです。
 ちなみに、設置場所も相まって、「潰れかけた箱から斜めにはじき出されそうな球」と、イメージすると描きやすいのですが、ここら辺は線がごちゃごちゃしていますから、線が重なるのを脳が嫌がって、円を上手く書けない場合が多いです。その場合は、中心点が分かっているのですから、コンパスを使う手があります。めんどくさい!!と思う頃には、フリーハンドで出来るようになっていますよ。


 ちなみに、どうしても球の大きさをちゃんと知りたい!!という方には、下のような方法で直径を知ることが出来ます。あくまで近似値ですけどね。
 ただ、私はこれを使ったことはありません。適当に描くからです。

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8骨盤を完成させ、くびれの線を描く(完成)

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 さて、最後はズレ立方体×2を対角線で割ってパンツ型を作る、胸郭から下の背中の傾斜を再現、そして、くびれの線を描きます。背骨の線を変える(胸郭背面の傾斜が延長され、これも“く”の字に折れ曲がった線となる)と、背面左右のくびれの角は、その新しい背骨の折れた点から等距離になります。もとの背骨の線からではありませんのでご注意くださいね。ちなみに、腰のくびれに関しては皆さん一家言持っておられるでしょうから、細さや角度はお好みということでお願いします。

 なお、背骨の折れ曲がる点の位置の目安がないと不安な方は、補助箱の高さの中間あたりにしておいてください。(ここらは自由なんですけどね)

 

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 ※ちなみに、二分の一ラインから、背面の傾斜をただ延長するというのに替えて、より傾斜の強い新たな背骨を描くと、背骨のSラインが強調された感じになります。第2回でご紹介した標準素体はこちらの方ですね。
ともあれ、これで完成です。お疲れ様でした。

 

 

最後に

 さて、ここで最初に戻って、あらためて説明を読みながら描いてみましょう、と言いたいところなのですが、ちょいとそれは億劫だという方には、作図例をなぞるというのも一つの手です。
 それから、この作図方法、かなり面倒だなと思われた方もいるかと思いますが、これはものすごく丁寧に説明した状態です。この描き方は、慣れると色々な部分を端折り、適当にこなすようになりますから、作業量はそこまでなくなりますよ。

 

 

それでは、これで今日の授業は終わりです。如何でしたでしょうか。
この方法は、ほぼどんな角度からでも描ける原理です。素体基礎では、棒立ちポーズで学んでいますが、応用概論からは、この素体を使って、体をひねり、曲げ伸ばしする複雑なポーズなども描いていきます。
それでは、次回、5月2日「素体基礎Ⅱ~脚部」でお会いしましょう。

 

 

ところで―――

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〇補足:どうしても骨盤の奥行きが薄くなりすぎる方の処方箋
本文中で言及した5の②の「骨盤上面がすでに正方形」より進んだ症状で、どうかいても骨盤の奥行きが薄くなる、正方形を通り越して横長だから、骨盤の幅を伸ばしてもどうにもならない、という方がおられるかと思います。おそらくその原因は、1:最初の胸郭直方体の奥行きが、すでに薄くなっている。2:背面の傾斜(8分の1削り)を、より削ってしまっている。のどちらか、もしくはその両方だと思われます。癖というのはなかなか抜けないものですから、その対処は、2の傾斜をやめることです。そして、胸郭直方体の上面に、逆に8分の1足して三角柱を足すような形にします。つまり、削るのではなくて、足すことで傾斜を付けるようにするわけですね。困ったら、試してみてください。