洞田創研究室

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【お絵かき講座】キャラ絵の描き方基礎~第一回 オリエンテーション

キャラ絵の描き方基礎 第一回 オリエンテーション

はじめに

 始めましての方は始めまして。洞田創です。今期、館林大学洞田研究室(ココ)において、教養共通科目「キャラの絵の描き方基礎」の講座を(勝手に)開講することとなりました。いやはや、絵の描き方の講座とは半可通のくせにブチ上げましたが……まあ、一席おつきあいください。

 

講義の概略

 内容は先に提示しておいたシラバスの通りです。週一回ずつ15回ありまして、一緒に絵の描き方を学んでいこうというものです。ゴールは漫画やアニメ風のキャラクターの全身像が書けるようになる、ということで、対象は初等学習者ということになっていますが、多少の基本は身に着けていることが前提です。

 

 まあ、とはいっても、大したことではありません。多少の基本とは、1:ぐるっと円がかける。2:立方体(サイコロ)がそれなりにかける、という状態を指します。厳密にという話ではないですし、これをペンで一発描きしろという話でもありません。書いては消し書いては消しを何度も繰り返しても、それっぽいものがかければOKです。

 

 学習方法ですが、基本はこの記事を読む、ということです。あと、私が実際に書いてみましょう、と時々言いますので、興が乗ればやってみれば良いと思います。
なお、この講義では種々ある教え方の中で、不肖私の開発した広文メソッドという方法を使います。


 ところで、世間一般の習いごとのように、絵でも上達の過程というものがありますが、初等学習者の皆さんの中には、自分がどのくらいの上達程度なのか分からない、どのように進んでいくかよく分からない、という方も多いでしょうから、ここで、世に言われる一般的な過程を簡単にお伝えしておきましょう。

  • まず、第一は「一方向からの顔、またはバストアップ(胸から上)が描ける」です。漫画を真似してみて、小中学生の頃にこれが描けるようになる、という人が多いと聞いています。
  • そして、これから発達すると必然的に胸から下も書き足そうとしますから、次の段階は「一方向からの全身像が描ける(立ち絵)」となります。ただ、この段階は全身像と言っても棒立ちか、それにちょっと動きがついただけの平面的な絵になります。ですから、しばらくすると、なんか違うな……と思えてきて、あ、立体的に書かなきゃならないんだ、と気づきます。
  • そこで数々の挫折を得て、第三段階が「ある程度の簡単な構図で、立体的に全身像が描ける」ということになります。
  • 第四段階はこれを素直に発達させ、「ある程度複雑な物でも、立体的に描ける」となります。

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 さて、皆さんはどこに位置しているでしょうか? 実は、二と三の間というのが、かなりの難所で、ここを超えるのが非常に難しくなっています。ここでの右往左往で数年たったり、挫折した人間の数は計り知れない……というと怖がらせてしまいますが、あながち誇張した話ではありません。


 この講座は一、二の方を対象にしまして、何とか難所を超えて三にたどり着いてもらおう、というものです。先に述べました広文メソッドはそのために作られた道しるべ、地図、もしくはコンパスみたいなものです。
 メソッドの特徴は何といっても「ほとんど数値化されている」という点です。なるべく理詰めで説明し、ボブ・ロス氏のように「ね、簡単でしょう」みたいなことを言わないで行きたいと思います。

 

オリエンテーション

 では、講義の概略をお話ししたところで、ちょっと思い出話を始めましょう。大体、どんな講座も第一回は教員の思い出話です。

 

 ヲタクなら……一度はアニメに出てくるキャラクターを描いてみたい、とか、もしくは漫画を描いてみたい、と願望を抱く物と思いますが、私はヲタ趣味に目覚めるのが遅く、絵を描いてみようと思ったのは、大学生の時でした。

 この場合、順当なのはサークルや研究会に属することなのですが、大学にはいわゆる漫研のサークルはあったものの、田舎から出てきたばかりの純朴な私は、サークル棟がタバコ臭くて近寄れず、加えて人見知りでしたから、結局、入会することはありませんでした。そして、今ほどネットが身近ではありませんでしたから、頼みの綱は本屋のハウツーコーナーにおいてある教本で、結局、キャラ絵はほとんど独学でやるはめになってしまったのです。


 そして、この教本というのが……実に分かりにくいもので、教本なのに一枚の作例を見せて、「考えるな感じるんだ」式でしたので、「ここの比率は何対何、何センチ線を引けばいいのか教えてくれよ(怒」と教本を投げ出すことがしばしばでした。生来、私は相当に頭が固いので、「手本の割合を計って、それ通りに描けばよいのだ」と変なことを思い込み、それで結局、物差しで教本の例示の絵を計って各部分の割合を調べ……などというとアンリ・ルソーのような笑い話ですが、これは本当の話です。


 かくして、そうしたこうした試行錯誤の果てにできたのが、先ほどから申し上げている広文メソッドという訳です。これは上でも言及しましたが、どこにどれだけの線を引けばいいか数値化されている、というモノで、名前は大学と学部が元です。協力者がみな同じ学部だったのです。ヲタ仲間とも言いますね。


 うすうす分かってきたかと思いますが、この講座の「頭の固い人向け」というのは「固い頭を柔らかくする」講座という意味ではありません。柔らかくしたい方は『脳の右側で描け』(ベティ・エドワーズ 河出書房新社 2013)を読んで頂けると、需要が満たせると思います。この講座の目的は、エドワーズ女史の向こうを張って、「頭の固い人が頭の固いままでも、何とか絵を描くことができるようにする」いわば「脳の左側で描く」というような物なのです。実に愚かですね。

 

 さて、次回の講義の前に、上で申しあげた立方体(サイコロ)の事を若干補足しておかなければなりません。この講座を見に来る方は、ほとんど出来ると思うのですが、この立方体とは、中学高校の時の数学の作図のようなもの(下左図)ではなく、奥が縮んでいるいわゆる「パースがかかっている」立方体(下右図)です。ああ、もちろん、パースなんて、消失点を決めたりして厳密に製図する必要はありません。見た目がそれっぽければ大丈夫です。違和感がなければ、いや多少あってもかまいませんが、かければいいのです。この立方体に関してはなるべくいろんな角度やパースで描けるようになってほしいと思います。不安な方は空いた時間にチラシの裏にでも練習されると良いでしょう。

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それでは、第一回はここで終わります。次回(18日)は「アタリからはじめよう」です。