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洞田創研究室

洞田創(とだはじめ)のブログです。只今、スケジュール的な問題で浮世絵(風イラスト)の作成依頼の受け付けは停止しています。ご迷惑をおかけしております。その他、ご用のある方はhajime_toda☆yahoo.co.jpまでご連絡ください。(☆を@にしてください)

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椿説壁ドン(かべどん)

 YES!! 文献史学の方の洞田です。

 

 椿説は、3回続けて妖怪の話をしてきましたが、ちょっと今日はサブカル方面に寄ってみましょう。

 今回のお題は、「壁ドン」です。

 

壁ドン - Wikipedia

 

 皆さんお知りのように、壁ドンは全く異なる二つの用法があります。一つはアパートなどで隣がうるさい時に抗議の意味で壁を叩くというもの。二つ目は、男子が女子を壁際に追い詰める求愛の行動です。

 

 ただし、今では、後者の方のイメージが強いかもしれません。2014年のユーキャン新語流行語大賞のトップ10にも選ばれましたからね。

 

 新語と言う事で、比較的新しい行為かとおもいきや、実はこういったしぐさは昔から行われてきました。しかも、二つの意味ともにです。

 

1の壁ドン~宮崎県南部における壁撲儀礼

 さて、一つ目の壁ドンからいきましょう。これが行われていたのは、宮崎県諸県地方の一部です。この地区では、昔、若者はある一定の年齢になると二才組(ニセグッ)という青年組織に加入し、ニセ小屋を拠点に社会人としてのアレやコレやの規律を叩きこまれていました。

 この二才組は結婚をすれば脱退となるのですが、仲間内の結束が非常に強いために、ここでちょっとした問題が持ちあがります。というのも、強固な組織なので、足抜けが難しく、ただでは脱退できないのです。

 そこで脱退、つまり結婚をする者は他の面子の機嫌をとろうと、あらかじめ二才組の面々に付け届けをするわけですが、それが足らないと二才の面々が怒り、ちょっとした悪戯をしてやろうという話になります

 

 この悪戯が儀礼化したのが壁撲儀礼(かべなぐりぎれい)です

 

 この壁撲儀礼、その名が示すとおり、悪戯の方法というのが独特で、二才組の面々が深夜、新婚家庭を訪れ、その壁を力いっぱい殴りつけるというモノなのです。普通は無言で行うのですが、地区によっては「トトが来たぞッ。嫁御を返せとトトが来たぞ!!」「けちな婿には嫁はやらんといっちょるぞ!!」等と、心をえぐってくる煽りを言う場合もあります。

 これを受けて新婿は、「悪かった悪かった」と言って謝り、再度二才組に付け届けをします。その付け届けも不満だったらもう一度……となるのですが、実際には早い段階で儀礼化してしまっているので、「付け届け不足の不満」も「新婚家庭への意地悪」も申し合わせの予定調和になっています。

 

 この習俗は、昭和初期まで存在していましたが、現在ではかなり形が崩壊し「子供会が新婚家庭を訪れて、その門を笹で撫で付ける」というモノになってしまいました。掛け声も「円満円満」で、不満はどこへやらという感じです。ただ、「笹で撫でられたお礼に餅やお菓子を渡す」という点だけは、付け届けの痕跡を見て取ることができます。

 

2の壁ドン~壁戸(かべと)遊び

 さて、続いては2の方の壁ドンですが、これは江戸時代の「壁戸(かべと)遊び」(壁留(かべとめ)遊び、とも)に類似点が見出せます。これは子供の遊びなのですが、やり方はざっくりいうと、「一人の子が壁に手をついて、他の子がそれをくぐっていく」というモノです。

 当時は着物を着ていますので、壁の伸びている向きと平行に立って片手を伸ばし、壁に手をつけると、腕を竿とした「暖簾」のようになります。つまり、手をついた子を「戸」と見立てて、壁戸(かべと)というわけです。

 

 遊び方を具体的にご説明しますと、まずは暖簾役の子を一人選び、他の子は一列に整列します。そしてまず対面するように前から一人一人潜っていき、全員が潜り終えると、今度は暖簾役の子の後ろで列をシャッフルし、今度は後ろから腕をくぐっていくのです。

 

ちなみに、シャッフルする際、子供たちは節をつけて「どの子がほしいか?」と暖簾の子に聞き、暖簾役の子は意中の子の名前を答えます。もうお分かりかと思いますが、この遊びのキモは、意中の子が後ろから潜るのを狙って、体を九十度回転し、その子を体で閉じ込めるような形にするというところです。そこから壁留とも言う訳ですね。なお、実際にやってみると、かなり密着した感じになります。しかも、結構パッと捕まえる感じなので速度もあります。ただし、後ろからの気配を頼りに行うため、うまく行くかは分かりません。違う子にしてしまう場合もあります。まあ、それも含めてのキャッキャウフフの遊びと言う訳です。

 

さて、二つの壁ドンについて見てまいりましたが、如何でしたでしょうか。いつの世にも似たようなことはあるモノなのです。

 

 

 

 

 

 

 

もちろん、嘘です。ご了承ください。

何かだんだん、椿説シリーズはやるほどに申し訳なく感じてきました。。

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