洞田創研究室

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ラピュータ遺跡(複合遺産)紹介※画像なし

【推奨】最初に、脳内で「ソ〇ープレゼンツ」と呪文を唱えると、いい感じです。

 (現在「THE世界遺産」は〇ニー関わっておりませんが、私の時代はだいたいこれでした。)

 


The Song of Life ~Original 1996 version~ (from live image) 鳥山雄司

 

 

天空に浮かぶ古代の城~ラピュータ

      ラピュータにおける古代遺跡と生物相(1986)

 

 

 ラピュータ遺跡は、古代ラピュタ人が作った都市国家です。ラピュタ人は古代世界において、鉱物を結晶化させる先進的な技術を持ち、強大な軍事力を誇った幻の民族でした。

 そして、そのラピュータの栄光は、最盛期、広大なユーラシア大陸全域に及ぶほどでした。たとえば、インドの古典「ラーマーヤナ」でも、ラピュタ人の使った武器が「インドラの矢」として神格化され、言及されています。しかし、ある時を境に、彼らはこつ然と姿を消してしまうのです。

 

 そして、その謎に満ちたラピュタ人の都が、ラピュータ遺跡なのです。

 

 ラピュータ遺跡は、現在は廃墟になっています。ラピュータが放棄された理由については現在まで判明していません。学説はいくつかあり、人口密集による伝染病の流行、支配地域の独立による勢力の衰退、王位継承の争いによる内部崩壊などです。原因は一つではなく、それらが重なったためとも言われています。

 

 ともあれ、ラピュータ放棄が行われたのは、正確な年代は分かりませんが、かなり遠い昔のことであり、そのため、文字資料がほとんど残っていないのです。

 

 さて、ラピュータ放棄後のラピュタ人の足跡について、興味深い話があります。ラピュータから遠く離れた山岳地帯にいる牧畜民族が、自らを「ラピュタ王族の末裔」とする伝承を持っているのです。

 彼らは二つの氏族に分かれており、一つは王族の本家とも言うべき氏族で「トェル・ウル・ラピュタ(トェル=正式な、ウル=王)」という民族名を持ち、もう一方は分家として「パロ・ウル・ラピュタ(パロ=従属的な)」という民族名を持っています。パロ氏族の方は、風下的な立場に嫌気がさしたのか、早い段階で都市部に進出しており、先祖伝来の原始的な牧畜生活を守っているのは、現在では、ほぼトェル氏族だけとなっています。

 彼らの物語では、ラピュタ人のラピュータ放棄は「土が恋しくて大地に下りた」されています。

 

 さて、ここでラピュータ発見の逸話を紹介しましょう。実は、ラピュータ遺跡は「竜の巣」という巨大積乱雲の中にあり、つい最近、19世紀後半まで半ば忘れられた存在でした。そこでわずかに語られるラピュータ像さえ「空に浮かぶ宝島」であり、ほとんどの人間は「おとぎ話」「絵空事」と思っていたのです。

 しかし、ある飛行機乗りが偶然、竜の巣の雲間からラピュータの写真を撮ることに成功し、実在が証明されることとなりました。彼は、その後ラピュータに向かおうとしましたが、実現できずに没してしまいました。

 

 はじめてラピュータ遺跡に到達したのは、「ムスカ大佐」として知られる、ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ氏でした。

 彼はパロ氏族の出身で、氏族の出自を調べている中でラピュタ遺跡の実在を確信していました。そして、彼のラピュータ発見にかける情熱は、ついには政府を動かして、飛行戦艦によるラピュータ遺跡調査が行われることになりました。ラピュータを取り巻く巨大積乱雲を越えるには、鋼鉄の体躯を持つ、飛行戦艦が必要だったのです。

 ちなみに、調査隊の目的は学術的なものというより、「眠っている財宝を見つけだす」という多少ロマンチックなものでしたが、これは19世紀という事情を考えれば、あまり批判されるものではないでしょう。

 

 かくして、ラピュータ遺跡はふたたび日の目を見ることになりました。シュリーマンによる、同じく架空の町だと言われていたトロイアの発見から、実に数年後のことでした。

 

 そして、その文化的歴史的重要性、また、ガラパゴス諸島に匹敵する、隔絶された環境での生物相の重要性が認められ、ラピュータ遺跡は1986年、世界遺産複合遺産)に登録されました。

 現在、遺跡の案内板には、遺跡の説明と共に、ロムスカ氏の「ラピュタは滅びない、何度でも蘇るだろう」という言葉が刻まれています。

 

 しかし、その言葉とはうらはらに、現在、ラピュータ遺跡は崩壊の危機を迎えています。というのも、はっきりした原因は分からない(禁じられた呪いの言葉を吐いたため、などという信じられない言説も出回っています)のですが、ある時点で石材の脱落が起こり始め、現在では多くの構造物(石材)が失われてしまったのです。

 通常、遺跡にはびこる木の根は、遺跡を破壊してしまう嫌われ者なのですが、ラピュータ遺跡は全体に木の根がはっていたおかげで、それがかえって構造物の脱落をとどめる網の役割を果たし、かろうじて完全な崩壊はまぬがれました。

 

 しかし、危機遺産として登録され、現在、修復が待たれる状況です。

 

 

 

 

……ということで、ごきげんよう。