洞田創研究室

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『日日新報』(錦絵新聞)より記事「狐狸が新聞画工に弟子入り」 19C日本・東京

(発表 2012.5)

今回ご紹介するのは、明治初期の錦絵新聞「郵便日日新報」である。錦絵新聞は明治の初期に存在したジャーナリズムで、記事に錦絵(浮世絵)をつけたものである。扱う記事は事件やゴシップ・怪談奇談の類が多く、その点を考慮しても現代の写真週刊誌の走りといえよう。
この作品は「狐狸が新聞画工に弟子入り」というもので、文明開化の秘訣を学ぼうと、沢嶋という顔の長い男に化けた狸(シルエットから狸だと思われる)が、錦絵の絵師に弟子入りをしたという記事である。しかし、特殊な交渉じ神通力まで使って聞き出したのは、田舎者でも幼児でも知っている常識であったということで、とんだ怪化(開化)だったという駄洒落オチ付きの話であり、真面目なものとは思われない。作者雨山九斎が絵師の股嘘と謀って仕組んだ作り話であろう。

上の文章は、
「この頃巷間を見廻せバ 狐狸も驚く電信蒸気 開けて明治の御代をなす
 開化の秘訣は新聞と 狐狸も画工に弟子志願 東京ハ赤坂の新聞画工
 股嘘偽作氏の宅に 沢嶋といへる者 上がり込んだハ明治八年
 第三月の事なり 珍妙奇天烈の青服姿 人に化けるも顔の長きハ
 狐狸の性なるか 神通力にて 聞きだししハ いかなる山人小児さへ
 知りたる類の事バかり さても可笑しき怪化なり
です。

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