洞田創研究室

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浮世絵「外ヶ嶋鉄道館内蒸気車之図」 19c日本・東京

 (発表 2013.9)

今回ご紹介するのは、「外ヶ嶋鉄道館内蒸気車之図(そとがしまてつどうかんないじょうきしゃのず)」である。鉄道館というのは現在の駅のことで、題名は、外ヶ嶋という駅の、駅内の蒸気機関車の図という意味である。この絵は元々3枚続きの絵の左側に位置するものであったと推測されているが、現在残っているのはこの一枚だけである。

日本の鉄 道開業は1872年(明治5年)である。導入されたばかりの鉄道は、文明開化を象徴するものであり、珍しい物であった。そのため、ジャーナリズムの役割も 担っていた浮世絵にとっては、格好の題材であった。この時期には、鉄道が本作品も含め浮世絵によく登場している。

さて、本図の特色として は、蒸気機関車に顔が描かれているという点であろう。これは、当時の人々が、蒸気機関車を妖怪変化と同様に捉えていたということであり、「石炭で動く」と いう知識から、想像を膨らませたものだと思われる。まさか、運転室から石炭を投入しているということは思いも及ばなかったのである。結果、「前から妖怪の 顔に石炭を食わせる」という、ほほえましい表現になったのであろう。

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