浮世絵『大日本奇奇傳(だいにっ ぽんきき でん)』より「無垢ノ介猩猩に化けて山中の賊を捕らふ」 19c 東京
目を細めて、ちょっと離れて見ると良いのですぞ。
今回ご紹介するのは、連作浮世絵『大日本奇奇傳(だいにっぽんききでん)』のうち、「無垢ノ介(むくのすけ)猩猩(しょうじょう)に化けて山中の賊を捕らふ」ですぞ。
大日本奇奇伝は、キキ(聞き)、つまり日本各地の文字になっていない伝承・昔話を聞き取って描いた、という意味なのですぞ。この絵の元になった話は、正義のヒーロー無垢ノ介が、山で好き放題暴れている蛇のような狡猾で悪賢くて素早い牙蛇敏(がじゃびん)という無法者のお坊さん(荒法師というのですぞ)を懲らしめる、という話なのですぞ。んんー、まるで誰かさんみたいですぞ。無垢ノ介は猩猩(しょうじょう)に化けて油断させるのですが、猩猩とはお酒の好きな妖精みたいなもので、素敵な赤い毛をもっているのですぞ。んんー、親近感がわきます。
ところで、捕えられた牙蛇敏はどうしたかって? それは深ーく改心して無垢ノ介の家来になったのですぞ。なお、無垢ノ介は南北朝の人、赤松軍に参陣して大活躍だったのですぞ。やっぱり、赤い方が偉いのですぞ。
ところで、『平成うろ覚え草紙』飛鳥新社より発売中なので、よろしくお願いします、ですぞ。