【お絵かき講座】キャラ絵の描き方基礎~第四回素体基礎Ⅱ脚部
キャラ絵の描き方基礎(頭の固い人向け)第四回 素体基礎Ⅱ~脚部
前回は、広文メソッドの素体(アタリ)における、胴体の描き方をお伝えしました。今回は、それに脚を書き足すという内容です。おっと、素体が何なのか分からない方については第二回の講義録をご覧ください。
それでは、さっそく始めましょう。
足の部品を把握しよう
まずは、今回のスタートとゴールを把握しておきましょう。左がスタート、前回で学んだ胴体ですね。ここに、脚を書き足した右がゴールとなります。
OKですね。では、こんどは足に使われるパーツを並べてみましたので、ご覧ください。
いやはや、このレジュメを作るために、初めてパーツを測りました。ええ、実際には大きさなどは自由に決めて良いのですが、一応の目安があった方が良いということで。ですから、参考値と軽く受け止めておいてください。
さて、脚のパーツは、太ももの付け根と踝が球体、膝がカプセル状、足の甲が長球体となっています。なお、図には記載してませんが、踵の下に円盤を取り付けます。膝のパーツに関しては「何だこれ?」と、思われたかもしれませんが、球体が二つ重なって作られる、薬のカプセル状、というイメージをしてください(下図)。これは半径分が重なり、高さが直径の1・5倍です。めんどくさい方は、カプセルで覆うまでもなく、単に球を二つ重ねておけばよいでしょう。また、足の甲は実際には足の輪郭とは何のかかわりもない、「ここに足があるよ」というただの記号なので、適当に細長い楕円を描けば事足ります。それでも、何らかの描く時の目安が必要な場合は、長さが踝2、5個分の「タイ米」を付ける、とイメージすれば良いでしょう。ちょうどあの形です。
パーツのつなげ方
上でパーツを説明しましたが、脚の描き方としては、このパーツを配置し、その間を線でつなぐという方法を取ります(下図)。それから、球はどの角度から見てもそのままですが、カプセルの見た目は角度で変化する(当然ですが)ので注意してくださいね。
この時、この線が「球体をはめ込んだ筒である」というのを示すために、筒の切り口、球の嵌っている部分に線を引いてください。下図のコップと球のイメージです。実は、これがかなり重要です。
なぜ、この線が重要なのかと申しますと、これが、筒の向き、角度を示してしまうためなのです。下図を見て頂けると一目瞭然かと思います。この円弧を厳密に描く必要もありませんが、弧の向きがちぐはぐになってしまったら、「これってどっち向きなんだっけ?」と、下書きに起こす際に混乱しますので、ご注意ください。
これで、パーツ同士のつなぎ方は分かりましたね。ただ、皆さんはこう思っているはずです。「そのバーツをどこに配置するかが問題なんだ」と。
パースの原則の確認
ですが、ちょっとだけ待ってください。その前に、パースの話をしましょう。いえ、パースの作図法ではありませんので恐れる必要はありません。ちょっとした確認です。
絵画でよく使われるパース(一点・二点・三点透視図法)は、「パースがかかると、特殊な線以外、互いに平行な直線はいずれ一点に収束する」という性質を持っています。これだけ覚えておいてください。
以上。確認を終わります。ええ、これだけですよ。
配置場所を決める
さて、棒立ちポーズの場合の、各パーツの配置場所を決めます。この素体の場合は、棒立ちになると「太ももの付け根の球」と「膝」と「踝」のパーツの中心点は一直線に並びますから、まずは、ガイドとして付け根球の中心から垂直に補助線を下します。目測でやれる人は引かなくても問題ありません。
では、次に素体の平面図を見てください。ピンときた方もおられると思うのですが、胸郭の二分の一ラインから骨盤下端の距離、(骨盤下端と高さが同じ)付け根球中心から膝下までの距離、膝の真ん中から踝の真ん中までの距離が同じなのです。
これで、脚の長さが分かりますね。
さて、実際の作図方法は下図のようになります。2本の補助線の真ん中にもう一本の線を引き……これは股下の中央から伸ばしたラインになるわけですが、そこに基準となる「胸郭の二分の一ラインから骨盤下端の距離」を写し取っていくんですね。
この作図で注意することは、胴体の横線も含めて、横線は「いずれ一点に収束する(パースがかかっている)」と意識しておくことです。計5本(胴体3本、脚2本)も引いているわけですから、どれかの傾きが強く狂っていたら意外とすぐ分かります。もちろん精密性は必要ありません。違和感がなければそれでいいんですよ。
……ただ、これはちょっとめんどくさい方法です。正直、脚の長さなんて好き好きに書いていいんじゃないかと、私も思います。
ということで、下図をご覧ください。まず補助線を引きます。これは前の時と同じように目視で行ける人は描かなくても問題ありません。次に自分の好みで「膝の中心はここだろうな」という位置に、ざっくりと横線を引きます。続けて、太ももの長さ(付け根球中心~膝中央)より若干長めで、踝のための横線を引きます。これで出来上がりです。全部、目分量でするんですね。
これも同じように線の傾き(パース)には注意しないといけませんが、やはり違和感が強くなければOKです。
さて、後は踝の下に円盤を敷いてください。これが踵(かかと)となります。球と円の間には球半個分の間隔がありますが、ここに至っては、正確に距離を測るのはただの徒労です。空間が空いている、とイメージして描くだけで良いでしょう。また、円盤は踝と同じ直径ですので、「踝の球が地面に投影された感覚」で描くと描きやすいですよ。
お次はタイ米、もとい足の甲パーツです。先述したようにこれは記号なので特に重要視するパーツではありません。地面に置かれている感じで描いてください。露骨に違和感がない以上、問題ありません。向きは、一応足先を広げた感じにしておきましょうか。図のようにガイドを引くと、とても便利です。
ここまでくれば、あとは付け根、膝、踝、各パーツをつなげば完成です。つなげ方は上で説明しましたよね。
お疲れ様でした。
補足~脚の曲げ方
棒立ちポーズはこれで描けましたから、本来は終わりなのですが、脚の曲げ方の話をちょっとしてだけしておきましょう。脚にポーズを付けるのは応用概論でやるのですが、そこにいくまでに結構な時間が空きますから、その間、皆さんは独自に色んなポーズを試そうとするのではないかと思いますからね。
さて、脚を曲げる時に問題になるのが、膝のカプセルの“向き”です。球体ならばどう転がそうとも同じシルエットなのですが、カプセルはそうもいきません。長短がある以上、必然的に向きが出てきて、これをどの向きに描くのかで迷ってしまいます。
その、カプセルの向きですが、基本的に踝の方を向いています(下図)。
「よし分かったデブメガネ、じゃあ描こう。お前は用済みだ」という方はちょっとお待ちください。例外があるのです。というのも、膝パーツは太ももに対して、90度以上曲がらないという性質があります。正座をすると一番分かりやすいのですが、踝は付け根球に接しようかと言う所にありますけれど、膝パーツは90度の所で止まっています。
ところで、上の二つの作図例を見て、もやもやとした人もいるかと思います。「膝パーツへの筒の嵌り方がなんだか変だぞ、筒がパーツにもぐりこんでいるぞ」と。これは、これは、足の各パーツの説明で述べました「玉が二つ重なったカプセル状」というのを思い出していただければ理解できるかと思います。つまり、これは太ももと膝下の各筒が「カプセルの外側ではなく、中の球にはまっている」という状態なのです。
それから、ついでに言っておきますと、先ほどの正座の様に足を曲げると、絵としての見た目ではなく、実際に筒どうしが一部重なりあう場合がありますが、それは正常なことなので今のところは無視をしておいてください。間違っていません。下書きに起こすときにそこをやります。
さて、それでは今日の講義はこれまでです。次回は5月9日、「素体基礎~腕部」でお会いしましょう。
―――おっと、そうそう。
脚部の描き方、曲げ方を図と言葉で説明しましたが、これはやはり、実際に私が描いた作例を見てもらえば分かりやすいので、下にザックリとした作例を載せておきます。コレを描けるようになれという話ではありません。繰り返し言いますが、ポーズをつけるのは応用概論で行います。また、実にテキトーに描いているので、これを手本としてはなりません(重要)。イメージだけ掴んで頂ければと思います。基本は「パーツを配置し、つなげる」であり、その方法はまったく上で説明した通りです。
また、脚の線が曲線であり、足の甲パーツが違う事、上半身が第三回講義と一部違う事に気付かれる方がおられると思いますが、これは以降の講義でやるモノを、描いているだけなので気にしないでください。(私は慣れていますので一足飛びにそうしているだけです)