肖像画『伝小田萌豚肖像(デンオタノホウトンショウゾウ)』 日本大阪 22C
今回ご紹介するのは、『伝小田萌豚肖像(デンオタノホウトンショウゾウ)』(草明寺所蔵)である。これは、「萌道」の大成者小田萌豚(おたほうとん) の肖像画であり、萌道は二十世紀末に誕生した「萌え」の概念を、「詫び寂び」と並ぶ芸術価値にまで昇華させたものである。
彼の時代、萌数 寄者は変わり者と見られ、同じオタクの中でも序列が低いと目されていた。そこで、萌豚はネットを行脚し、萌の素晴らしさを説いて回った。ある時には「キモ い」などいわれなき迫害に身を曝したが、後に彼の目指した理想、萌との一期一会である「残十三(あと十三回しかない:(;゙゚'ω゚'))」は日常系アニ メの覇権化によって大成される。
ただ、現在では、萌豚は実在の人物ではないという説が有力であり、当時活動していた有名無名のオタクたちの生き様が仮託されたもの、という見方がなされている。
彼らが情熱を打ちこんだ「萌え」は、後に政府によって「クールジャパン」として取り上げられることになる。すなわち、いわゆる萌御政道(モエノゴセイドウ)と称される「萌え」の興隆はここから始まるのである。